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クラッシュ

クラッシュ [DVD]

アメリカのいろんな人種・層の人々が「ぶつかり合う」様を描いた作品。白人を敵視する若く貧しい黒人、アラブ人と間違われるペルシャ人の雑貨店経営者、白人検事とその妻、ドラマの演出家?で裕福な黒人とその妻、病の父を抱えるレイシストの白人警官・・・そんな10人以上の登場人物が入り乱れますが、それぞれのバックグラウンドやエピソードがしっかりと描写されているのでややこしさはありません。

いやいや、こんな書き方ではこの映画の持つ力や重みは全然伝わりませんね。

人種差別や個人の抱える悲しみについて、とにかく誠実に描いているのです。どの登場人物にも、一方的に断罪するような視点がありません。この姿勢にまず心を打たれました。
だから、例え人種差別主義者の警官にだって心の底からの嫌悪感は感じなかったし、逆に100%同情するような人もいなかった。この描き方をもって、一方的な視点から離れることことこそがお互いを理解するための第一歩だってことを認識させてくれました。これがないために起こった悲劇の連鎖と、逆にこれがあったがためのよき変化の両方がしっかりと心に焼き付いています。

そして、コミュニケーションの重要性。この映画では、自分の思いをどう伝えるか、そして相手のメッセージをどう受け止めるかという点での行き違いからくる悲劇をも描いています。心の姿勢だけではなく、「言い方」「受け止め方」がどれだけ大事か、ということも突きつけられた感じです。

いろんなシーンで、自分ならどうするか、と考えさせられました。とにかく、観ている間も観終わった後も、考えさせられることの多い、そしてそれが確実に自分に根付いていきそうな、そんな力と重みを持った作品でした。


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