庭を歩いてメモをとる

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岩井志麻子「ぼっけえ、きょうてえ」

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

話題になっていた頃から読んでみたいと思っていたのですが、やっと今日読めました。遊女が語るおぞましい生い立ちを記した表題作の他、3編が収められています。どれも明治時代の岡山を舞台にしています。

たしかに、各方面で言われているように、タイトル通り「とても、怖い」。でも、個人的には、怖さよりも「暗い興味」をかき立てられたという表現の方がしっくりくる感じです。「怖いもの見たさ」の気持ちにさせる材料をふんだんに使ってつくられたフルコースという感じ。心の奥底にある「期待」を裏切らない内容です。そういう点でも、4編のうち表題作がいちばん面白かったかな。

一気に全部読むと、興奮とともにどんよりした気分につきまとわれますが、一方で別の作品も読みたくなってしまう自分もここにいます。私にとっては、この人の作品は、間を空けて楽しむのがよさそうです。


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