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佐藤良明「ラバーソウルの弾みかた」

ラバーソウルの弾みかた  ビートルズと60年代文化のゆくえ (平凡社ライブラリー)

友人のYさんから、上記の「ビートルズの歌詞を英語の観点から分析した本」についてうかがった際お教えいただいた本(ありがとうございました)。当初、タイトルから、ビートルズのみに関する本?という先入観がありましたが、実際はそれだけにとどまらない*1、広範に60年代のポップカルチャーについて語った本でした。

しかし、ただ著者の60年代の思い出を記しただけの本ではありません。この本が書かれたのは80年代の末。この時代に対する著者の思いはなかなか複雑なようで、当惑しているかのような雰囲気が色濃く出ています。これが印象的でした。おそらく著者は、ただ「現在(80年代)から見た60年代」を書きつづっているつもりだったのでしょうが、実はこれが、80年代末の雰囲気をもけっこうくっきりと描き出しているのです。2006年の今この本を読むとそのことがよくわかります。実際、80年代後半に高校生だった私は、この本を、ある種の郷愁のようなものを感じながら読み進めましたから。ここが、この本のユニークなところだと感じています。60年代を語る本なのに、同時に80年代末も描いているという点が。

この本のユニークさは他にもあります。例えば、個別のいろんな作品が現れては消えていく独特の語り口調。最初は違和感を覚えましたし、なんだか気取ったような印象も受けたのですが、読み進めるうちに、これも一つのスタイル、と割り切ることができました。

とりあえず、文中に出てくる映画「蠅男の恐怖」(1958年)と「ザ・フライ」(1986年)を観比べてみたくなっています。

*1:ビートルズの歌詞については、"All You Need is Love"について記述されていました。


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