庭を歩いてメモをとる

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The Beatles / Free As a Bird リリース日の想い出

アンソロジー(1)

The Beatlesの「新曲」として"Free as a Bird"が発表されて今日で10年。早いものです。

10年前の今日は、本当に長い1日でした。


FM802のクイズ企画

まず、当時毎日のようにアクセスしていたNiftyのビートルズ会議室の存在が大きかった(会員制掲示板のようなイメージ。dream9さんのブログにも解説があります)。発表になるずっと前から新曲に対する期待感であふれかえっていましたから。だから、この日は朝目覚めた段階で、一生忘れられない日になるかも、と感じていたのを覚えています。

平日だったので当然出勤。仕事中は少しはこの興奮状態から逃れられるかなと思いましたが、甘かった。事務所から車に乗ると、早速FM802でこの曲に関するクイズをやっていたのです。どんなクイズだったのか?

曲が収録されたアルバム"Anthology1"は、EMIにより音源が事前に漏れないように厳重に管理されていました。CD工場を世界3カ所(イギリス、アメリカ、日本、だったかな?)に絞り24時間体制で警備員をつけるなどしていたのです。当然出荷時間も厳重に規定されていて、それが1995年11月20日の朝何時かだったのです。それに対しFM802は、少しでも早く新曲を放送するために、DJを直接静岡県御殿場の東芝EMIの工場に"Anthology1"を取りに行かせ、さらに「さて何時に大阪に戻ってきて放送できるでしょう?」というクイズを企画したわけです。

さあ何時くらいだろう、と思いながら車を走らせいくつかのお客さんのところを訪問していきます。お昼ごろだったか、車に戻ると、さっきDJがCDを手に入れて携帯経由で聴かせたけどよく聞こえなかった、歌ってくれもしたが当然それで曲がわかるわけでもない、まだ大阪には着いていない、とのナレーションがありました。もう少しすれば新曲を早々に聴くことができるかもしれない。うまいタイミングで自分が車の中にいるときに放送してくれればいいなあなんて思いながら車を走らせます。そしてあるお客さんとの話が終わって車に戻ったところ、「15時29分でしたね〜」という声が。時計を見ると15時40分くらい。ちょうどDJがスタジオに戻って曲をかけ終わったところだったのです。うーん、なんというタイミング。

ここで私は決めました。どうせなら今日の夜まで待とう、と。この日の「ニュースステーション」で、"Free as a Bird"を放映する予定があったからです。車を運転しながら聴くんじゃなくて、プロモフィルムも含めてまっさらな頭で曲に集中できる状態で「The Beatlesの新曲」に遭遇しよう、と思ったわけです。なのでそれ以降、車のFMの電源は切っておくことにしました。「ニュースステーション」までの我慢だ。


NHKのニュース

そうこうしている間にもう19時前。ここでいったん事務所を出ました。残業中ですが、夕食兼ピアノのレッスンに出かけるために。当時の上司が非常に理解のある人で、そんなわがままな行動を認めてくれていたのです(もちろんその間の残業代はもらってないですよ)。しかしこの日に限っては、このわがままも「厳しい闘い」になってしまいました。

まず、食事をしようと餃子の王将に入ったら、そこのTVでNHKのニュースが。まさに、「ビートルズの新曲」についてでした。御殿場のCD工場でのCDプレスの様子、一斉にCDを摘んだトラックが出ていく映像などが映し出されています。

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(日本放送協会「NHKニュース7」1995年11月20日放映分から引用)

この映像にはびっくり&うれしかったものの、「新曲がちょっとでも流れたらどうしよう」とあせったのは事実。まあテレビがちょっと離れた場所にあったので音声はほとんど聞こえませんでしたが・・・ちなみに王将の若い店員さんが食い入るようにテレビを見ていました。多分同類です。なんだかうれしくなります。

そしてピアノ教室へ。ここは楽器店と教室が併設されているのですが、教室にはいると店内に流れるFMから"The Beatles! Free as a Bird!"と叫ぶDJの声が!一瞬からだがこわばるものの、聴くまいとあわてて走り去る私。なにやってんだ。なんとか曲は聴かずにすみました。

レッスンが終わり事務所に戻ると、同僚はほとんど帰宅した後。そのうち私一人になりました。時間も20時をまわっている。このままだと「ニュースステーション」の時間までに家に帰ることはできません。しかしこれも計画済み。当時の事務所には、30インチくらいのテレビとけっこういいスピーカーが設置されている休憩室があったからです。新曲はここで見よう。そういう魂胆です。


ニュースステーション、そして・・・

「ニュースステーション」の時間になりました。当然仕事はここで終了。トイレもすませ、満を持して休憩室に向かいます。しかしなかなか新曲紹介が始まりません。ニュース番組なので当然といえば当然ですが。そうして1時間近くたったでしょうか、たしか米問題についてのニュースが終わった後、「大変お待たせしました」みたいなことを久米宏が言いました。やっとだ。

CMの後、The Beatlesのあゆみを簡単に紹介する映像が続いた後。ついに。始まりました。

鳥の羽ばたく音、4人の子どものころの写真、そしてRingoのドラム2発。

あんなにテレビを食い入るように観たのは、あれが最後かもしれません。誰もいないのをいいことに、ボリュームをかなり上げて曲の世界にどっぷりつかりました。

Johnのパートの次にPaulのヴォーカルが聞こえてきたときは、もうなんと言っていいか・・・震えました。
ビートルズマジックに打ちのめされました。


帰宅後、Nifty-Serveで

しばらくぼうっとした後、今度は急いで家に帰ります。ビデオで何度も観るのです。いやその前に、Niftyのビートルズ会議室のコメントを読みたい。

日付が変わるころに家につき、Macintosh LC630を立ち上げNiftyにアクセスすると、そこにはコメントの山が・・・内容を読む前に、この「事件」を全国のファンたちと共有できているという実感と、そのことへの感謝の気持ちがまずわきあがりました。パソコン通信のある時代でよかった。本当にそう思った。そしてコメントを読みふけります。みなさんの興奮冷めやらぬ様子が画面の向こうから感じられます。

その後、ビデオは何回観ただろう。曲をひとしきり堪能し落ち着いてくると、今度は各シーンの「仕掛け」「ネタ」が気になり始めてしまいます。ファンの方はご存じのように、この曲のプロモフィルムは、The Beatlesのいろんな曲を映像化した上、そこにThe Beatles4人の在りし日の姿をコラージュした内容。数秒ごとにファンをにやりとさせるつくりなのです。なんというものを創ってくれたのか。

結局、いったん落ち着いてNiftyにコメントを書いたのが午前2時半ごろ、ビデオの前から離れられる気持ちの整理がついたのが午前4時頃でした。

それにしても。この日までありえない夢だった「ビートルズの新曲をリアルタイムで聴く」ことができた。しかもそれを、全国のファンとリアルタイムで共有できた。こんなこと、かなうもんなんだな。長い1日が終わるときに頭の中はそんな驚きでいっぱいでした。

Niftyにコメントを書き込むときは、自然と「FAB4ありがとう」とタイプしていました。

今でも感謝しています。もちろん、「事件」を共有した人たちにも。

それにしても、もう10年か・・・まだ昨日のことのように覚えています。10年後も20年後もそうだと思います。


(参考)2年後に・・・

ロケ地に行ってみました。
yositeru.hateblo.jp