庭を歩いてメモをとる

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重松清「ビタミンF」

ビタミンF (新潮文庫)

38歳、40歳、36歳・・・・「人生の"中途半端"な時期に差し掛かった人たち」が描かれているということで、これも出張の合間の空き時間に手に取ってみました。もちろん、自分がもうすぐ35歳になることを意識して、です。

しかし、「同じ年代の人間」を観察してみようという私の試みは挫折しました。これ、2001年の作品なんですね。つまり2001年に30代後半ということは私と7〜8年程度のずれがある。その上、この短編集、どれも「2001年に30代後半だったの人たち」、つまり1960年代前半に生まれた人たちにこそわかる描写が多いんです。仮面ライダーとか、80年代前半に大学生だったこととか。だから主人公たちとの「共感」は得られませんでした。

とはいえ、この短編集が退屈な、同世代以外を排除するような雰囲気があるかといえば全くそんなことはありません。中学生の子どもをもった親の心境や、私たちの年代(1970年前後生まれ)を部下としてもつ中間管理職のまなざしなど、自分の知らない世界を実体感をもって描いてくれています。それも、やや離れた位置で、わずかにあたたかく見守るような視線で。だから、現実の厳しさを感じながらも読後に落ち着いた気持ちになれました。

自分に似たものを探そうとして、結果的に知らない世界を見てしまったけど、悪くはなかった。そんな気持ちになれる作品でした。


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