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「ブラック・ジャック・マガジン」-それぞれの持ち味あふれるトリビュート

最初は、いわゆる単行本収録作品を雑誌形態で出したもの、だと思っていたのです。「ゴルゴ13」などでよくあるパターンですね。でも、これは違いました。

「ブラック・ジャック・マガジン」。トリビュートなんですね、これ。小学5年の時に親戚の家で読んだ時以来個人的にもっとも好きなまんがのひとつであるこの作品に、他の作家たちはどんなアプローチをしているのか気になり、早速読んでみました。

まずしょっぱなは永井豪。「ブラック・ジャック」というより、手塚まんがへのオマージュといった感じ。他の作家に比べると唯一笑いの要素が入っており、手塚治虫を「手の届かない場所」においてしまわないベテランの余裕のようなものを感じます。内容も、「リボンの騎士」のサファイヤがいきなり全裸になったりと、しっかり永井ワールドになってるし。とはいえ、手塚治虫がいなければ永井豪もまんが家になっていないということがはっきり描かれていたりして、ベテランだからこその手塚の影響力の強さもそこに見てとれます。

次の青池保子も同様に、「マイワールド」の中のトリビュート。「エロイカより愛をこめて」の世界にそのままブラック・ジャックが登場したような雰囲気。絵も「エロイカ」そのものだし。立原あゆみもそのまんまの絵柄です。そういえば、このトリビュート、画を無理に手塚風にしようという心構えは全体的にないようです。まあそれは適切な選択でしょう。似せるなら田中圭一くらいまでやらないと芸にはならないと思いますし。

そんな中、個人的に、ストーリーが一番オリジナルに近いイメージでかつおもしろかったのは田口雅之(「バトル・ロワイヤル」漫画版)バージョン。こんな病気(障害)が世の中にあったのかという驚き(ネットで調べてみると本当にあった)、完成度の高いストーリー、手塚キャラの使われ方など総合的に楽しめました。絵柄はリアル系なので、リアルなブラックジャックはともかく、ピノコ、写楽、ランプなどはちょっと視点を変えると笑いの対象になってしまう危うさもありますが、普通に読んでいればおかしくないし、作者に画で笑いをとる意図はなさそう。

その他、たがみよしひさ(「軽井沢シンドローム」)のあの画や、葉月京(「恋愛ジャンキー」)によるドクター・キリコが主人公になるエピソードなどもあり、総じて、この雑誌前半のトリビュートは楽しませてもらいました(後半は原作のストーリーをそのままにしたリメイク版)。

そして、今はオリジナルが読みたい。ビートルズのカバーを聴いた後にビートルズが聴きたくなるような感じ。トリビュートって、オリジナルのよさを見つめ直すきっかけにもなりますね。



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