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「死刑」についての綿密な取材 - 高野和明「13階段」

13階段 (講談社文庫)

冤罪と思われる死刑囚、はずみで殺人を犯した後仮釈放になったばかりの青年、死刑執行経験のある刑務官など、「死刑」にかかわる人物を巡るミステリです。

読み始めてすぐにぐいぐい物語に引き込まれ、結果、昨晩は「デスノート」以来の「読書が原因の睡眠不足」に陥ってしまいました。最終的には今日、出張で乗った電車の中で読了したのですが、物語のラストの盛り上がりと「電車が目的地に着くまでに読み切りたい」というあせりが相乗効果を生みだしたようで、最近経験していないスリルを味わうというおまけつきでした。

さてこの作品、ストーリーの巧みさに加え、刑事裁判、犯罪者処遇、被害者をとりまく環境などについての記述が詳しいのも特徴です。それが、読むのをやめられなかったもうひとつの原因でした。

例えば、死刑執行の詳細な手順。受刑者の足下の床を落とし絞首刑を執行するボタンは3つあり、刑務官はそれを同時に押すのですが、それによって誰が刑を執行したのか刑務官本人にわからないようにしてあること。また、執行に携わった刑務官には2万円の手当が支給されるが、合法的とはいえ「殺人」を行った苦悩と、「殺人」で得た金など持っていたくないとの心情から、支給当日にその金で痛飲するのが普通、など(小説ではもっと激しく刑務官の心理を描いています)。他にも多くの記述がありました。

しかし一方で、実は上記の二つのエピソードは既に知っていました。大学時代の刑事学の講義で聞いたのです。で、もしやと思って参考文献のコーナーを見ると、やはりその教授の名前が。

重いテーマを扱った作品にどっぷりつかっていた最中、一瞬ですがその先生のなつかしい講義を思い出してしまいました。そういえば、「カッコーの巣の上で」を初めて観たのもその講義だったなあ。



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