庭を歩いてメモをとる

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ジェームズ・P・ホーガン、池央耿訳「星を継ぐもの」

星を継ぐもの (創元SF文庫)

■ご紹介下さった方
イギリス研究会のミステリファン


■管理人の感想

[物語]

21世紀、月面で死体が発見された。その死体は、地球人と同じ生物であるにもかかわらず、5万年以上も前に死んでいた。遺留品を分析した結果、次々と新たな謎が生まれる・・・果たしてこの人物はどこから、なぜ月にやってきたのか?

[感想]

推理小説の持つ「物語を引っ張る力」と著者の持つ「科学への肯定的なまなざし」。この両者が見事に融合した作品でした。

太陽系と数千万年を股にかけた壮大な「謎」は、もちろんこの作品の面白さの核になるんでしょうが、私はそれと同じくらい、いやそれ以上にこの著者の持つ科学への明るい信頼をほほえましく感じました。皮肉ではなく。予想されている科学技術は、実際に21世紀に生きる私たちから見ると滑稽なものもあるのですが、それを心から楽しんで想像する著者の姿が文章の向こうに見えるようだったのです。また、遺留品を巡って、生物学・言語学・数学などの専門家が集まって徐々に謎を解明していくプロセスにも、普通の推理小説とはちょっと違った興奮を覚えることができました。

ストーリーの「謎」は期待しすぎていた感があり諸手をあげて万歳とまではいきませんが、この思わぬ部分での魅力が輝いて見えました。結果として、細部までおいしく味わえる小説に仕上がっていたと思います。(2004年2月11日)



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