庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

paul mccartney driving japan 2002 - 11月14日その1(東京公演3日目・ポール捜索隊)

ポール目撃者現る

この日も水道橋で昼食をとり、13時前にタクシーでホテルへ。ロビー前に着きますが、昨日出入り禁止を宣告されているのですぐ車輌出口に移動。既に何人かのファンがいました。そのうちの、最近まで札幌にお住まいだった女性Szさんと、ビートルズ日本公演の頃からのファンだという女性Yさんとお話しするようになり、やっぱりポール見るならこの車の出口が確実ですよね、と自分たちの計画を確かめ合いました。

今日も肌寒いものの明るい日差し。ポールを見られるだろうかという緊張感とは裏腹に、都心とは思えない静けさと落ち着きがあります。今日はこのまままったりと夕方まで過ごすのかな・・・そう思っていた14時20分頃、一人の青年が息せき切ってやってきて、そして言いました。

「さっき、ポール見ました。」 私も、一緒にいたSzさんも一斉にその青年、Stさんの顔をのぞき込みます。

「近くの庭園にいたんです。コンニチワって声をかけてくれたんですけど、何も言えなくて・・・」

なんだって?ほんとに?しかし何よりも、Stさんの恍惚とした表情が全てを物語っています。

すぐに、ポールをもう一度探そうという話になり、まずSzさん・Stさん・Yさんたちが近くの公園に直行。私はと言えば、ちょうどこの時、このサイトを見て一緒に追っかけをしたいというメールをくださったRさんが富山からFホテルに到着したので、携帯で連絡をとり合流。初対面の挨拶もほどほどに、先発隊の後を追いかけ、新江戸川公園で再会します。

ポールはここにいるんだろうか?そこにいる人に訊いてみます。庭木の剪定をしている人と外国人の学生がいましたが、みな「ポールいたよ!」と言っている!でももうここにはいないみたい。やはりFホテルの裏の庭園か?走ってそこに向かいます。

庭園に着くと、入り口には守衛?のおじいさんが。ポール・マッカートニー見ませんでしたかって訊いても教えてくれないだろうなあと躊躇していたら、Szさんが「ねえおじさん、ポールいるんでしょ?ねえ教えてよ!」と60年代のビートルマニアの少女さながらの詰問。おじいさんは苦笑いして「いや、あの・・・さっきいたよ」とあっさり白状。ありがとうおじいさん。でも庭園に突入した我々を待っていたのは、いきなりの分かれ道。

「どうしましょう」 「迷ってる時間ももったいないし、男女で右と左に分かれましょうか」

とりあえず男性は右の道に。ただ、ここは都心にしては広い庭園とは言えあくまでホテルの敷地、歩いて数分で行き止まり。レストランに着いてしまいます。うーん、ということは女性陣の行った道にポールが?とりあえず引き返します。背の高い外国人の姿を探しながら、ゆっくりと・・・しかしポールの姿は見つけられません。ほどなくして女性陣とも再会。そちらもポールの姿を見つけることはできなかったようです。他に、昨日ウィックスとの2ショットを撮ってくださった男性ファン二人組の方々とも偶然お会いしましたが、そちらもポールを見ることはできなかったとのこと。しばらく庭園内を散策しますが、気がつくと15時前。今度はポールがドームに向かう時間が近づいてきたのです。名残惜しいですが、またホテルの車輌出口へと戻ることになりました。

それにしてもこの捜索隊。この4日間ひたすら「待ち」続けた中、最初で最後の本当の「追っかけ」でした。数十分前まで名前も知らなかった人たちと一緒に同じものを目指して走りどきどきしたこの時間。ポールには会えなかったけど、本当にいい夢を見ることができました。声をかけてくれたStさん、一緒に走り回ったSzさん、Rさん、Yさんには今もとても感謝しています。


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庭園の一部。この池を、ポールも眺めたのでしょうか。


ポールの車は・・・

車輌出口に戻ると、そこには20人以上のファンが集まっていました。やはり、昨日ポールの車がここを通ったという情報が広まったのでしょうか。あるいは、ロビーで待つのが厳しくなってきたのかもしれません。いずれにしろ、比較的狭い道にちょっとした人だかりができています。

昨日ポールが出た時刻が近づいてきて、あたりに緊張感がみなぎります。今日はポール、窓を開けて顔を見せてくれるかな・・・そうすると顔を出すのはどっちだろう・・・そんなことを考えます。そして、そろそろ私たちが道に飛び出さないよう制止するホテルのスタッフが出てくる頃じゃないかな、でも遅いなと思ったその時、声があがりました。でもポールはまだここに来ていない。何より、その声は歓声ではない。驚きの声、失望の声。

みんなが振り向いた方向を見てみると、ポールの車が、車輌入口から出ていくところでした。ポールは窓を少し開けて、手を出して振ってくれています。でも、その手も、すぐに見えなくなりました。

出口ではなく入口。逆走したわけです。やられた!

ホテル側の立場を考えれば予想できそうな展開でしたが、私も他のファンのみなさんも、そこまで気が回らなかったようです。いや、正確には、数名のファンの方がこれを予測してか、目白通りの信号でポールを待って、ポールを見ることができた(サインをもらえたという噂もありますが)そうですが。

ああ、東京での追っかけはこれで終わったのか。

でも、この4日間。ポールには会えなかったけど、忘れることのないであろう4日間でした。一緒に待ったり追っかけたりして下さったみなさん、そしてウィックス、他のバンドメンバー、ヘザー、ポールに、心から感謝。

しかし、この日にはまだ奇跡がふたつ控えていたのでした。

つづき


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