庭を歩いてメモをとる

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ウイリアム・ピータース(白石文人訳)「青い目 茶色い目 -人種差別と闘った教育の記録」

青い目茶色い目―人種差別と闘った教育の記録 (NHKワールドTVスペシャル)


■ご紹介下さった方
ちゅちさん


■紹介メッセージ

 これは、アメリカのある女性教師が試みた実験の記録です。小学校の教師である彼女、ジェーンはアイオワ州の小さな町に住んでいます。そこは全員白人でプロテスタント、という差別を直に体験することがないような環境にあります。しかし、そこの子供達ですら、知識として(大人が教えたのか、マスコミの影響か)黒人は白人よりも劣っている、ということを知っています。

 そこで、ジェーンはそれがどんなに間違った考えであるかを教えるために、子供達の「黒人の人の気持が知りたい」という希望を受けて、危険でいやな実験を始めます。まず、全員白人の子供達の身体的特徴をとり、目の色で青と茶の2つのグループに分けました。そして、きちんとこの実験の意図を子供達に話して聞かせ、納得してもらってから、実験のルールを説明しました。それは、1日目は優れているのは茶色い目の子供ですが、2日めにはそれは逆転して青い目の子供の方が優れていることになる、というものでした。

 そして、実験はスタートして、ジェーンは徹底的に容赦なく、先生の権力でもって青い目の子供達を非難し、卑下します。反対に茶色い目の子供は、昼休みは5分長くとれるし、食事の列にも先に並べますし、少し良いことをすれば、何倍もほめられます。あんなに仲の良かったクラスなのに、始まってほどなく、予想もしていない事態が出現する....というドキュメントです。

 そして、2日めはどうなったのか、そこから先、何がおこったかは読んでみてください。読むうちに胸がずいぶん痛みますが、最後にはこの子達がうらやましくもなります。それから、これは1988年にNHKでも海外ドキュメンタリーとして放送され、たいへんな反響をよんだそうです。

 読み終わると、あらゆる差別に敏感になれるような気がします。


■管理人の感想

人種差別問題については人並みに理解していると思いこんでいた自分の甘さを思い知らされました。差別される状況にいれば人間はどうなるか。たった2日間の実験で、子供達はどれほど変貌したのか。自分の今まで持っていた意識を変化させるに充分なショッキングな実験結果が続きます。極めつけは本の中程にある写真です。「被差別グループ」と「差別できるグループ」の子供達が列を作っているのですが、両者の表情の違いはあまりにもショッキングで、忘れることができないものです。(1998年10月31日)現在絶版なのが非常に残念です。(2005年9月23日)



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